常識のウソ
従来の腰痛因子に関しては、いろいろ研究され論文となって世の中に公表されています。
原因について断定するような事があれば注意が必要です
従来の危険因子は無関係
■物理的因子が異なる一卵性双生児をMRIで比較した結果、椎間板変性は仕事や
レジャーによる肉体的負担・車の運転・喫煙習慣よりも遺伝的因子の影響を強
く受けている
(Battie MC. et al, Spine, 1995)
■健常者の76%に椎間板ヘルニアが、85%に椎間板変性が存在し、手術適応と
の差は職業上の問題(仕事上のストレス・集中度・満足度・失業)と心理社会
的問題(不安・抑うつ・自制心・結婚生活)
(Boos N. et al, Spine, 1995)
腰痛は職業病にあらず
■健常者の椎間板をMRIで5年間観察した結果、重い物を持ち上げる・重い物を
運ぶ・身体を捻る・身体を曲げるといった従来の危険因子の影響を受けていな
い
(Elfering A. et al, Spine, 2002)
■農業従事者1,221名と非従事者1,130名を対象にした前向きコホート研究で、
腰への負担が大きいほど腰痛発症率が低下していたことから、腰の健康を保ち
たいなら肉体労働を恐れてはならない
(Holmberg S. et al, Agric Environ Med, 2003)
椎間板への負荷は有益
■体重差のある一卵性双生児を対象にMRIで腰椎を比較した結果、体重が重い方
が腰椎の骨密度が高く、椎間板の状態も良好だったことから、仕事やスポーツ
による負荷が椎間板にダメージを与えるわけではない
(Videman T. et al, Spine J, 2010)
■600例を対象とした研究によって、BMI高値、引き上げ筋力が強い、作業強度
が高いといった因子はすべて椎間板変性を遅らせることが椎間板のMRI信号強
度から判明
(Videman T. et al, Spine, 2007)
身体の歪みと腰痛は無関係
■健常者・急性腰痛・慢性腰痛のファーガソンアングルに差は認められず、腰部
前彎の強弱と腰痛は無関係なため、医師は腰痛の前彎についてコメントしては
ならない
(Hansson T. et al, Spine, 1985)
■発症後1年以内の腰痛患者と健常者の骨盤の歪みを厳密に測定した結果、どの
ような臨床的意義においても骨盤の非対称性と腰痛は無関係
(Levangie PK, Spine, 1999)
参考文献
TMSジャパンメソッド バージョン2013