レッドフラッグ
レッドフラッグ
腰痛での「レッドフラッグ」というのは、転移性脊椎腫瘍、脊髄・馬尾腫瘍、
化膿性脊椎炎、椎体骨折、解離性大動脈瘤、強直性脊椎炎、閉塞性動脈硬化症、
馬尾症候群などの存在を疑わせる危険信号のことです。
全腰痛患者に占める割合は1~5%でしかありませんが、
絶対に見逃すわけにはいきません。
具体的にはこういうサインがあります。
◆発症年齢が20歳以下か55歳以上
◆最近の激しい外傷歴(高所からの転落、交通事故など)
◆進行性の絶え間ない痛み(夜間痛、楽な姿勢がない、動作と無関係)
◆胸部痛
◆悪性腫瘍の病歴
◆長期間にわたる副腎皮質ホルモン(ステロイド剤)の使用歴
◆非合法薬物の静脈注射
◆免疫抑制剤の使用
◆HIVポジティブ
◆全般的な体調不良
◆原因不明の体重減少
◆腰部の強い屈曲制限の持続
◆脊椎叩打痛
◆身体の変形
◆発熱
◆膀胱直腸障害とサドル麻痺(馬尾症候群の疑い)
(European COST, 2004)
(腰痛診療ガイドライン, 2012)
このリストに該当するものがひとつでもあれば、必ず重大な病変があるという
わけではありません。ですが、命にかかわるような病気がないことを確かめる
ために、整形外科医を受診して画像検査と血液検査を受けて下さい。とりわけ、
馬尾症候群に特有な膀胱障害(排尿困難、残尿感、尿失禁)、直腸障害(便失
禁)サドル麻痺(肛門や会陰部の感覚消失)、外陰部のほてりや灼熱感(女性
の場合)、陰茎の勃起(男性の場合)が現れた時は緊急を要します。一刻も早
く脊椎外科医の診察を受けるべきです
■レッドフラッグの内訳
■腰痛で外来受診した患者のうち重篤疾患が存在する頻度は、悪性腫瘍0.7%・
圧迫骨折4%・脊椎感染症0.01%・強直性脊椎炎0.3%
(Jarvik JG & Deyo RA, Ann Intern Med, 2002)
■腰痛で外来を受診した患者のうち馬尾症候群が存在する頻度は0.04%
(Deyo RA. At el, JAMA, 1992)
参考文献
TMSジャパンメソッド バージョン2013