■脊柱管狭窄症の治療では、特異的な適応がほとんどない症例や、より簡単な治療で高い効果が得られる明確なエビデンスがある症例に対しても、より複雑な新しい手技(固定術)が行なわれている。エビデンスのないリスクを伴う高価な治療の急増は問題だ。http://1.usa.gov/mntabq
■脊柱管狭窄症で複雑な固定術を受けた患者は、除圧術に比べて命に関わる合併症リスクが3倍(5.6%対2.3%)。術後30日以内に再入院する可能性も高く(13%対7.8%)、手術費用も3倍強にのぼる(80,888$対23,724$)。http://1.usa.gov/lrHYry
■複雑な固定術を必要とする脊柱管狭窄症がわずか6年で15倍に増加したとは考えられない。脊椎分野のオピニオンリーダーの影響や思い込み、経済的利益などの要因が関与している。正確な情報を与えられれば患者は低侵襲性のリスクの小さい手術を選択するだろう。http://n.pr/8XAf9S
■「激しい」「突き刺ささる」「ヒリヒリする」等の言葉で頭を満たした場合、レーザー光による熱刺激に対する感受性が増大して疼痛感覚が増強される。痛みに関連した言葉と疼痛刺激が組み合わさるとプライミング効果で疼痛体験が雪だるま式に膨れ上がる。http://1.usa.gov/mFRvuz
■fMRIを用いた研究によれば、痛みに関連した言葉とイメージを思い浮かべると脳のペインマトリックスが活性化するが、注意を逸らせると活性レベルが低下した。ゆえに痛みをくよくよ考えたり頻繁に話題にしたりする患者は自ら症状を悪化させている。http://1.usa.gov/kRj6OS
■医師による患者を安心させる言葉は、腰痛の改善に大きな力を発揮するだろう。そして患者は腰痛についてくよくよ考え込まないこと、四六時中その痛みについて考えないことが重要である。腰痛のことで頭をいっぱいにすると、プライミング効果で疼痛強度が増すからだ。恐るべきかな言霊の威力。
■腰痛分野の研究はこの20年間で目覚しい進展がみられ、腰痛疾患の疫学や理解が進んだにもかかわらず、腰痛の臨床転帰や活動障害の予防に改善は認められない。集学的チーム医療が行なわれていないからだ。このままでは急速な進歩は見込めない。http://1.usa.gov/kLP8z6
■体重差のある(平均13Kg)一卵性双生児を対象にMRIで腰椎を比較した結果、体重が重い方が腰椎の骨密度が高く、椎間板の状態も良好だった。仕事やスポーツによる累積的かつ反復性の生体力学的負荷が椎間板にダメージを与えるわけではない。http://1.usa.gov/ldX4Zv
■議論の余地がない真実とされる信念、学説、慣行という腰痛分野における「聖域」を侵した双生児研究の業績は大きい。輝かしい賞を数多く受賞しているにもかかわらず、腰への物理的負荷が椎間板変性の危険因子だとする見方は変わらない。目を覚ませ。http://1.usa.gov/jSTEdv
■これまで職場での身体的負荷(重量物の取り扱い、不自然な姿勢での作業など)、自動車の振動、喫煙などが椎間板変性を加速すると考えられていたが、一卵性双生児を対象とした比較研究によって身体的負荷よりもむしろ遺伝子の影響が大きいことを発見。http://1.usa.gov/iPsKBC