2012腰痛診療ガイドライン5 – 「カイロでおもしろきこともなき世をおもしろく」ブログ – 【滋賀甲賀のカイロ整体】カイロプラクティック甲南

第4章 治療

第4章の治療が最もページを割かれており、もっとも興味を持つ章であります。
腰痛になった時の具体的な行動指針とでも言えるでしょう。

・いったい何をすれば早期の改善を期待できるのか?
・○○の方法が良いと言われているが実際はどうなのか?

ある程度、疑問に答えられる章であると思います。

医療従事者はこの章で書かれている内容は頭に入れておく必要があると思います。

書かれている内容としましては
●腰痛の治療に安静は必要か
●腰痛に薬物療法は有効か
●腰痛に物理・装具療法は有効か
●腰痛に運動療法は有効か
●腰痛に患者教育と心理行動的アプローチ(認知行動療法)は有効か
●腰痛に神経ブロック・注射療法は有効か
●腰痛に手術療法(脊椎固定術)は有効か
●腰痛に代替療法は有効か
●腰痛の治療評価法で有用なものは何か
となります。

治療に関しては、生活指導や投薬療法などの保存療法と注射や手術などの侵襲性の療法の2つに大きくわかれます。
ここでは侵襲性の療法については割愛させて頂きます
自分たちで出来る範囲での有効性のある方法について記載させて頂きたいと思います。

●腰痛の治療に安静は必要か
ここでいう腰痛はぎっくり腰などの比較的予後良好な非特異的腰痛があたります。
結論から申し上げますと安静はできるだけ避けて日常生活の活動を維持することが支持されており
急性腰痛にベッド上安静を支持する際には注意が必要であると記載されています。

●腰痛に薬物療法は有効か
アセトアミノフェンと非ステロイド性抗炎症薬が第一選択薬に取り上げられています。
詳しくは割愛します。

●腰痛に物理・装具療法は有効か
一般的に行われるであろう、温熱療法、牽引療法、腰椎コルセットについて把握しておきたいと思います。
・温熱療法
 温熱療法は急性および亜急性腰痛に対して短期的には有効である(グレードB)
・経皮的電気神経刺激療法
 経皮的電気神経刺激療法が腰痛に対して有効か無効かは一定の結論に至っていない(グレードI)
・牽引療法
 腰痛に対して有効であるエビデンスは不足している(グレードI)
・腰椎コルセット
 腰椎コルセットは腰痛に対する機能改善に有効である(グレードB)

ここで注意するのは牽引療法ですね。
引っ張りましょうと受けている療法がまったく根拠が無い可能性があるということです
漫然と牽引療法をおこなうことに関しては注意が必要ですね。

●腰痛に運動療法は有効か
運動療法に関してもよく生活アドバイスで出て来る内容ではないでしょうか、
ミスリードされていないか注意が必要です
で、運動療法に関して実際のところはどうなのか
・急性腰痛(4週未満)には効果がない(グレードB)
・亜急性腰痛(4週~3ヶ月)に対する効果は限定的である(グレードC)
・慢性腰痛(3ヶ月以上)に対する有効性には高いエビデンスがある(グレードA)
・運動の種類によって効果の差は認められていない(グレードB)
・至適な運動量、頻度、期間については不明である(グレードI)

ここでは亜急性・慢性腰痛に対しては運動療法は有効であるが、運動の種類や強度、頻度に関しては良くわかっていない。
それとあくまでここでは治療としての運動療法なので予防の観点からの記載はありません
ただ腰痛にかかわらず運動による様々な恩恵があります
TMSジャパン腰痛セミナー資料より
■運動不足は心臓病・脳卒中・糖尿病・乳がん・大腸がんに関与し、運動によって全死因死亡リスクが20~30%減少
(Lawton B et al BMJ2008)
■35年のコホート研究で、中年以降からの運動でも禁煙と同等の延命効果
(Byberg L et al BMJ2009)

腰痛に関係なく運動はしましょうということですね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です